高橋しん
最終兵器彼女 (全7巻) ☆☆☆☆★

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2006年に実写映画化され、一部に小さな小さな話題を呼んだ高橋しんの「意欲作」。
ちなみにその話題を呼んだと言うのも「大丈夫か?大丈夫なのか?」といった不安の声が
ほとんどで、更に言えば結果は全く大丈夫じゃなく「やっぱりなぁ」「だから俺はやめた
方がいいとあんなに…」といった悲嘆、諦観の声が多方から飛び交うことになった。とは
いえ漫画界に遠い人々にはほとんど何のリアクションもなかった様子。駄作というほど駄
作でもなく、いわゆる有象無象、十把一絡げの並以下の映画として評価は落ち着いている。
肝心の原作の方の評価はと言えば、こちらも賛否両論ではあるものの概ね高い評価を得て
いるようだ。ドラマ化された「いいひと」で認知度を高めた高橋しんだが、本作品ではま
た違った層からの支持者を得ることになった。実際「いいひと」と「最終兵器彼女」では
全く異なった作者の思惑が感じられる。しかし割と日常的な心理描写に重きをおくような
作風は共通しているように私には思われた。
内容は詳しくは述べないが「鬱漫画」と揶揄されることもある、あまり幸せとは言えない
ストーリー。ラストも読者個人によって受け取り方が違ったものになるだろう。見所はや
はり日常と非日常に揺れる登場人物の心理描写とその錯綜で、「生」と「恋」が大きな主
題となっている。物語としては「セカイ系」に分別されるというが、うん、まぁそうかなぁ
確かに世界観にあまり疑問を抱きすぎると面白くなくなってしまうかも。あくまで現実世
界の出来事ではなく人物の心情に焦点が合わせられているので読み手も柔軟に合わせてい
くと上手い具合に物語に嵌まっていくんじゃないかと思う。
しかしまず「彼女が最終兵器になる」なんていう超設定が手に取るには十分の魅力を備え
ている。興味本位で読み始めれば、高橋しんの独特の演出力(タイトル挿入とかページの
使い方とかすごいよねこの人)であなたは引き込まれていくだろう。そして「私は生きて
いたい」「恋をしたい」という強烈で本能的なメッセージにちょっとした衝撃を受けるだ
ろう。もちろん、女性にもお勧めできると思う。
個人的には裏表紙の装丁の演出がイイ感じで好きです。あと中学生くらいの時分には最終
巻がエロすぎて参った。本編よりそっちに意識がいってしまうのには注意。